あなたと親は何%くらい似ている?
どのくらい似ていますか?
例えば、身長や顔の形、二重、髪の色などいろいろな特徴が比較できますね。
このような生物の特徴を形質といいます。親の形質が子に現れることを遺伝といいます。
遺伝に関してはかなり多くの研究がされています。身長に関しては親から子に遺伝する率は80~90%といわれています。残りの10~20%は環境で決まるらしいです。
遺伝で身長が決まり、身長を伸ばす努力は報われないのかというとそういうわけでもないようです。
両親が低身長なのに子供は高身長という人が周りに聞くといると思います。9歳までの環境、つまり睡眠や食事、運動によって±10㎝くらいと大きく変わるようです。
ちなみに、IQは60%くらいが遺伝で決まるそうです。英才教育とかも聞きますし、環境も大切なんですね。
細胞の核の中にある染色体に形質を伝える物質が存在していて、その物質を遺伝子と呼んでいます。
メンデルが行った実験
19世紀にメンデルはエンドウという植物を使って遺伝の実験を行いました。
遺伝の仕組みを調べるためにエンドウの種子の形質を調べました。メンデルが注目したのは、丸の種子をつくるエンドウとしわの種子をつくるエンドウの2種類があることです。
このようにどちらか一方しか現れない形質のことを対立形質といいます。男か女かみたいなやつです。
メンデルは代々丸い種子をつくるエンドウと代々しわの種子をつくるエンドウをかけ合わせて子の種子をつくり、その種子の形質を調べました。
その結果、すべての種子が丸になりました。
つまり、子の代にはしわの形質が現れずに丸の形質だけが現れたので、丸い遺伝子のほうが形質として現れやすいことがわかります。
さらにメンデルは、この子である丸の種子を育ててかけ合わせ、孫をつくったら、孫の種子は5474個が丸い種子に、1850個がしわの種子になりました。
おおよその比率を簡単に表すと、丸:しわ=3:1になります。
メンデルはエンドウの対立形質を7つみつけて、同じように孫をつくって、対立形質が現れる割合を調べました。すると結果はこのようになりました。
種子の形 | 丸 | 5474 | 1850 | しわ |
子葉の色 | 黄色 | 6022 | 2001 | 緑色 |
種の色 | 有色 | 705 | 224 | 無色 |
さやの形 | ふくれている | 882 | 299 | くびれている |
さやの色 | 緑色 | 428 | 152 | 黄色 |
花がつく場所 | 葉の付け根 | 651 | 207 | 茎の先端 |
草の高さ | 高い | 787 | 277 | 低い |
それぞれの対立形質を調べるとすべての対立形質で、およそ3:1の割合で形質が発現することがわかります。(この実験はめちゃくちゃ3:1に近すぎるので、メンデルが自分の考えを有力に見せるために数を少しいじっているという説があります。)
対立形質の内、発現しやすい形質を優性の形質、発現しにくい形質を劣性の形質といいます。
優性の形質と劣性の形質の違いは2つの遺伝子が1つずつ遺伝した時にどちらが形質として現れるかによって決まります。詳しくは下の説明で理解していきましょう!
エンドウの種子が丸:しわ=3:1になる理由
細胞の中には染色体があり、ヒトの場合は23対46本あってこの中に遺伝子が含まれていました。遺伝のポイントは染色体がペアになっていることです!
有性生殖を行う生物は、母親と父親からそれぞれ減数分裂によって染色体が半分になった生殖細胞をもらい受精卵をつくります。
つまり、この受精卵が持つ染色体のペアの片方は母親の染色体、もう片方は父親の染色体由来ということです。
それを踏まえて、メンデルの実験についてペアの染色体が持つ遺伝子に注目して考えます。
純系丸のエンドウの遺伝子はAAのAが2つのペアと考えます。純系ということは、子供もさらにその孫も、ひ孫も丸い種子ができるということです。
ペアの両方ともAであるAAの遺伝子を持っていれば、減数分裂してもAの遺伝子が子に遺伝するので、代々AAの子を産み続けます。
同じように代々しわのエンドウはaaと表してみましょう。
AAのエンドウとaaのエンドウをかけ合わせて子をつくると、AAのエンドウからはAの遺伝子が、aaのエンドウからはaの遺伝子を受け取って、Aaの遺伝子を持った子が産まれます。
メンデルの実験で、代々丸のエンドウとしわのエンドウをかけ合わせた時、その子はすべて丸でした。
つまり、Aaの遺伝子を持ったエンドウは丸の形質を示すということです。丸を示すAとしわを示すaを1つずつ持っているのにも関わらず、丸の形質を示しました。
このことからAとaの遺伝子を比べるとAのほうが形質として現れます。なので、この場合Aの遺伝子が優性の形質を示し、aの遺伝子が劣性の形質ということです。
ちなみに、基本的に優性の形質を大文字のアルファベット、劣性の形質を小文字のアルファベットで表します。
さて、さらに子同士(Aaの遺伝子を持った種子)をかけ合わせると、片方の親からAとaのどちらかを同じ確率で受け取ります。もう片方からもAとaを同じ確率で受け取るので、AA、Aa、Aa、aaの遺伝子を持ったエンドウがそれぞれ4分の1の確率でできます。
イラストで表すと下のようになります。
できた4種類の遺伝子を持つ孫の内、丸の形質を示すのはAAとAa×2の3つの種子、しわの形質を示すのはaaの1つの種子だけなので、確率的に丸:しわ=3:1になるということです。
人が持つ優性の形質
人の形質にも優性、劣性があります。
例えば、手を組み合わせてみてください。手を組んだ時に左右のどちらの親指が上にきますか?
どちらの親指が上にくるのかも遺伝で決まっているそうです。右の親指が上にくる方の遺伝子が優性なので、親が手を組んだ時に右の親指が上の場合、子供も右が上になる可能性が高くなります。(もちろん絶対ではないのは今回の話で分かるはず)
そのほかに人が持つ優性の遺伝子は、二重、低身長、福耳、右利きなどいろいろあります。
自分が持っている形質と親の形質を比べてみてください!楽しいと思います!
まとめ
生物が持つ形や性質を形質といい、遺伝子によって子に伝えられる
メンデルは形質として現れやすい優性の形質と現れにくい劣性の形質があることを発見した
純系丸と純系しわのエンドウから作った孫の形質は丸:しわ=3:1になる
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