”記録”のメモから”知的生産”のメモへ
今回紹介する本は2019年に年間53万冊も売れ、本屋ランキングにもノミネートされた『メモの魔力」です。
著者の前田祐二さんは8歳のころに両親をなくして人生に絶望していました。しかし、メモの力を使ってのちに株式会社SHOWROOMの社長にまでなっています。
このことを著者は「運命の悪魔を倒すためにペンに手をとった」と表現しています。
この言葉めっちゃ好き!
悲惨な子ども時代を運命の悪魔って表現しているのが目を引きますね!まぁそれはそれとして、前田さんがいうメモの取り方を学ぶと人生が変わるっていうのは中学の先生をしていても凄く感じます。
頭がいい生徒のノートは板書以外の自分が気が付いた内容を書いていたり、補足情報がたくさんあるのに対して、勉強ができない生徒はただ黒板に書いてあることを写しているだけです。
そして私が重要だと思うのが、「ノートにいろいろなことを書いている子の成績の伸びが半端ない」ってことです!もうすぐ教員生活5年目になるけど、春ごろにこの子いいノート出すなぁって子は冬には間違えなく成績が上がっています!
教師の私も共感するこの『メモの魔力』に書かれている”メモの使い方”のうち中学生に知って欲しいものだけピックアップして紹介します!
学生必見のエッセンスだけ取り出したよ!
それでは行きましょう!
① 知的生産のためのメモ
メモは記録のためじゃない!!
筆者が最も強く伝えたい内容は記録のためのメモ→知的生産のためもメモにしなさいってことです。
メモ(MEMO)という言葉はもともとラテン語のmeminiが語源で英語のmemory(記録する)にもremember(覚える)にも書かれている通り、記録に関する英語にはmemが入っています。
メモを取りなさいと言われた時、忘れないために記録することを思い浮かべるけど、事実だけを書くんじゃなくて、人間にしかできない”付加価値”を付けることを意識するべきなんです。
どういうこと?
黒板を写すのはコンピューターが得意だけど、そんな無機質なメモじゃなくて、”人間にしかできない”黒板に書いてあることを以前の学習と合わせて考えたり、今日習った知識をどう活用できるか新しいアイデアを出したり、自分で情報を+αしていくべきってことです。
なるほど!ただ書いているだけじゃダメなんだ!
メモが叶える魔法
著者は付加価値を付けたノートを作れるようになると次の5つのメリットがあると言います。
①②③は黒板に書かれていることをノートをしっかりと書きとる能力があればOKですが、④と⑤は教師として生徒を見ていてとても大切な能力だと感じます。
④の「授業の枠組みを理解できる」は超絶大切なことで、みなさんは授業を1時間の単体で考えていませんか?今日はこれを覚えればOKみたいな。
違うの?
でもそれは間違いです!
授業は1時間ごとに理解するんじゃなくて、単元ごとに頭に叩き込みましょう!
単元ごと?
はい、例えば理科なら、双子葉類の授業でアサガオとタンポポを覚えて、次の単子葉類の授業でイネとトウモロコシを覚えて、シダ植物の授業でイヌワラビとゼンマイを覚えるってやっていても頭に残りません!
先生たちもそれはわかっているんだけど、授業は50分しかないし、集中力も長くは持たないから1つの大きなまとまりの単元をぶった切って、わかりやすい50分の授業にしているんです。
もちろん植物の勉強終わり!っていう単元の最後にはまとめをするけど、自分のノートに自分の力でまとめが出来るようになると、単元の全体像が見えて圧倒的に理解を深めることができます。
全体像を理解する力が大事なんだね!
そういうこと!全体像を理解するためには、メモの取り方についての話で後から出てくるけど、”抽象化”と”転用”が大切です。
『メモの魔力』は大人のビジネスマン向けの本だから、難しい内容が多いんだけど、先生が説明していたことを前回の内容を組み合わせて考えたことをかけると完璧です!
前回までに内容との比較や自分の感想、なんなら日常生活にどんな風に生かせるかを書けば、ノート点UPは間違いないし、テストの点もあがります!
黒板の内容+「前回の内容との比較」をノートに書こう!
⑤の「あいまいな感覚や概念を言葉にすることができるようになる」も私は重要な力だと思っています。
私の4月の最初の授業では、中学校で習う少し難しめの内容を小学4年生に説明できるようになりなさい!と言っています。
小学生に説明するでいいの?
小学生に説明ってのが難しいんです!
中学校の教科書には難しい用語がズラーーっと並んでいるけど、これをわかりやすく、嚙み砕いて説明するのは、用語の意味が完全に理解できていないと無理です。
難しい用語で教科書通りに説明しても小学生は理解できないし、難しい用語でかっこよく見えるだけで、大切な内容が全く理解できません。
例えば、「ソーシャルディスタンス」っていうとカッコイイけど、小学生に意味は伝わりにくいです。
この難しい用語を”手を広げてぶつからないくらい離れよう”って表現するとわかりやすいよね。
小学生でもすっとわかる!
これがあいまいな感覚や概念を言葉にするってこと。特に理科はカタカナ用語がよく出てくるけど、カタカナ用語を簡単な言葉に直すことができる=しっかり理解できていると言えます。
ノートを書く時は難しい用語を小学生が理解できるように翻訳して、難しい用語の隣に意味を書く意識を持ちましょう!
これをすると、内容の理解度が5倍になります!
難しい用語の隣に小学生が理解できる簡単な説明を書こう!
機械でも出来るノートを写すだけの行為から、自分なりの付加価値を工夫して付けたノート作りに行動をチェンジさましょう!
少しの工夫で身に着けたメモの力は、学校の勉強以外でも夢を叶える”人生のコンパス”に変化します!
次の授業から付加価値を付けたノート作りの工夫!
② 思考を深める”抽象化”
とにかく!ノートを取る時は付加価値がつくように書かなければ、夢を叶えることはできません!
次はどんなことを意識してノートを取ればいいのかについて『メモの魔力』から抜粋します。
著者がこの本で伝えたいノートの書き方はコチラ!
この3要素が著者の前田さんが激しく押している部分です。
授業内容を転用まで出来たら相当素晴らしいですが、事実から発展させた”抽象化”のレベルまでノートに書けるようになりましょう!
3要素はそれぞれどういうこと?
それも合わせて解説します!
①ファクト
最初のファクトは完全に事実です。インプットした内容をキッチリとノートに書き込みます。
『インプット大全』にも書いてありますが、質の高いインプットが出来るかどうかがカギです。板書+先生の話って感じで50分間集中して、事実をノートに書きましょう!
例えば、安山岩は火山岩、花こう岩は深成岩ってな事実でOK!
②抽象化
抽象化が最もやって欲しいことです!
簡単に抽象化が出来るようになるには「What」「How」「Why」を考えることです。
本書では、Whatの時は”空から降る水の粒”を抽象化すると雨になると書かれています。
当たり前じゃね?
そう!当たり前なんです!
理科で例えると”石の中に長細い白色の粒があった”はセキエイだ!ってくらいでいいんです。
授業の観察で発見したことを自分の予想で、たぶんコレ!って書くだけで抽象化だし、事実から飛び出た解釈が出来るようになるから、1つ目のステップとして実行してみてください!
さらにレベルアップするとHowやWhyになります。例えばポケモンを抽象化すると、ポケモンにはタイプによって有利不利がある(ファクト)、だから相手によって攻撃方法を変えるが抽象化になるそうです。
だから、学校にある大きい岩は黒色だから、この辺の土地はねばりけが弱いマグマからできた!的なことでいいんです。
観察した事実や先生の話から抜き出したファクトから、発展させた内容を書ければOKです!
特に実験だと事実から”考察”という形で抽象化することができるから、考察で教科書に書いてないようなことを書ければGoodです!
実験の考察で勝負しよう!
③転用
これはハイレベルです。転用は考えた抽象化から自分の行動をどう変えるかを考えるフェイズです。
まぁ中学校の学習内容から自分の生活に生かせるような転用は難しいので、学校の授業からの転用は考えないようにしておきます。
今回は趣旨と外れるから割愛させてもらいます。それでも気になる人は本書を手に取ってみてください。
③ 実際のノートの取り方
じゃあ大事なノートの取り方について学んでいきましょう!
待ってました!
『メモの魔力』で語られているノート作りの秘儀はこの3つです!
それぞれについて解説していきます!
①ノートを3分割してファクト→抽象化→転用を書く
最重要なのは、さっきまで説明したファクト→抽象化→転用をノートに書ききることです!
でもどうやるの??
そう!ポイントはノートを3分割することです!
ノートは見開き2ページを贅沢に使って書こうとアドバイスされています。
贅沢に使うね!
うん!授業の理解度を大幅UPさせるためだし、1年や半年使うノートだからバンバン使っちゃいましょう!
左側のページは日付とファクト(事実)を書きます。すべてが事実だけのページだから、授業だったら黒板に書いてある内容や先生の話を書きます。
右側のページの左半分はファクトから考えた抽象化、右半分はどんな行動に移すかを書きます。
授業ノートでこれを書くのは相当難しいけど、少なくとも、ノートの1/4くらいは線を引いて、すべての教科で自分の考えや感想を書くスペースをつくるといいでしょう!
隣の人と同じ内容のノートを書いていても全く意味がない!それは機械が得意な人間が一生懸命することじゃありません!
付加価値をつけるってやつだね
そうです!黒板と同じことを書くなら写メでも取ればいいんだからね。少なくともノートを2分割して、左側に授業内容、右側に付加価値を書く練習をしていきましょう!
いいノートに自分の考えや感想を書くスペースは必須!!
ロジカルノートが超オススメ!!
いいノートをつくるために、私は“ロジカルノート”をオススメします!
普通のノートと違って縦にも罫線が引いてあるのがロジカルノートのいいところです♪
今回紹介したノートを分割して付加価値をつけるノートの取り方をするのに超絶便利!縦線があるからノートの中央に線を引こうとしたときに迷わず引けます!
理科や数学のグラフを作図しなくてを済むから、書く時間をむちゃくちゃ短縮することができます!
縦線ありのノートを使ったことがない人はもったいないですよ!試してみてください!
縦線ありはやっぱり便利!
②4色ボールペンを使う
色分けをすることも『メモの魔力』ではオススメされていて、4色で分けましょうと勧めています。
4色の理由は、主観⇔客観と需要度高⇔低の2つの軸で、2×2の4色だからです。
例えば、先生がここは重要!って言った場所は客観×重要で”赤”、これは覚えなくていいやって場所は主観×重要で”緑”みたいな感じで4色で分けます。
色分けが大事なんだね
そうです!色分けするとパッとみてわかるから、スッと頭に入ってきます。私もこのサイトでアンダーラインの色は気を付けていて、重要なことは”赤色”、疑問を投げる時は”青色”、自分の感想やそれ以外のポイントは”黄色”にしています。
ちょっと注目してみてみてください♪
まぁとにかく色の違いでわかりやすくしようねってことです!
この本ではペンを持ち替えるのが手間だから、1つになったものをオススメしています。
③目を引くタイトルをつける
つまりは、要約する力をつけましょうという話です。
本書では「AKBのアイドルに朝5時半の女がいる」という話を例に、読んだ人が興味を持つタイトルをつけましょうと言っています。
タイトルを付けるのは結構難しくて、物語の全体像を把握できていないと、お!オシャレだな!っていうタイトルを付けれないし、記憶に残りません。
今日の授業にタイトルをつけることで、振り返りを行い、理解度を深めることができます!
タイトルをつけるのは、全体像を掴む&振り返りをするため
④ 目標を達成するメモの魔力
最後にせっかくなので、大人向けに書かれているこの本の「メモで夢を実現できる!」っていう部分をざっくりとお伝えして終わりにしたいと思います。
メモは自分の現在地を可視化して、将来の優先順位をつくって夢の実現をするためのものだといいます。
例えば、今の自分が出来ていないことを書く(ファクト)→なぜできないのか、ゲームをしてしまう等(抽象化)→勉強する時はスマホをリビングに置いておく(転用)のように、自分の現状を理解してから行動を変える。
指標をつくるためにメモを取れ。メモによって、自分が今一番しなければならないことが見えてくるといいます。
前田さんは「何を行動に変えるか」まで決めないとメモの意味はないといい、この本の最後には自分を見つめる1,000もの質問があります。
1000個もあるの!?
そうです!1000個の自己分析できる質問によって、今自分が何が好きで、将来どんな道に進みたいのか、人生のコンパスが見えてきます。
著作権の関係で質問を書くことはできませんが、未来が決まっていない中学生だからこそ、未来の姿を想像して取り組んで欲しいです!。
興味がでてきて、自己分析したい!もっと詳しくメモの方法を知りたいって人はぜひ『メモの魔力』を手に取ってみてください♪
電子書籍もオススメ!
書籍をお得に読む方法♪
まず、私がオススメするのはAmazon prime会員です!かくゆう私も大学生のこと登録したprime studentから7年間prime会員になっています。
prime会員ならkindle本が月に1冊無料でダウンロードできる特典がついています。
その他にも、prime会員は配送料が無料だったり、通常の買い物のポイントUP、映画やTV番組の見放題、音楽の聴き放題など魅力的な特典がたくさんあります。これだけあって年会費4,900円なので、Amazonを月に1度は使ったり、本を月1冊は読むという方は絶対に加入した方がいいです!
また、prime会員の方はタイムセールの時はkindleを読むためのkindle端末が4,000円引きで購入することができます。電子書籍が好みの方はセール期間に端末をお得に購入しましょう!
ちなみに実物の書籍よりもkindle本の方が1,2割ほど安いので経済的です。
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読書ライフが超快適になります♪
授業で一番大切なノートの取り方を学ぼう!
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