電池の歴史
電池が発見されたのは今から200年以上昔の1800年のことでした。
この電池が発見される前に、電池の発見につながるある偶然があり、それが1つのきっかけとなって電池がつくられました。
きっかけを作ったのはガルバーニという解剖学者で、死んだカエルを解剖している時に、感電したようにカエルの足がけいれんしたことを発見しました。
なぜ、死んでいるカエルの足が動いたのでしょうか?
それは、解剖に使った金属によって引き起こされたものでした。
ガルバーニの実験の後、ボルタが2種類の金属によって電流が生まれることを発見し、食塩水をひたした紙を銅と亜鉛ではさんで簡易的な電池を作りました。
この銅―食塩水の紙―亜鉛とはさんだ電池をたくさん重ねて、大きな電池をつくりました。
この地球で初めての簡易的な電池をボルタの電堆(でんたい)といいます。
電池を作ってみよう!
ボルタの発見から、2種類の金属を使って電池を作ることがわかりました。
今回は、金属の板と食塩水だけで電池を作ってみたいと思います。
【実験操作】
①飽和食塩水をつくる
②金属板を2種類用意して、電子オルゴールにつなげる
③電子オルゴールの音を確認して、電流が流れているか確認する
実験に電子オルゴールを使っていてこれがポイントです。
電子オルゴールは赤から黒の導線に向かって電流を流さないと音がなりません。
だから、電流の向きを測ることができます。
さて、いろいろと金属を変えてやってみましょう!
亜鉛板と銅板で作った電池の電流を測ると下の写真のようになりました。
【結果】
金属の組み合わせを変えて実験を行い、主要な結果を下の表にまとめました。
+極 | -極 | 電子オルゴールの音 |
銅 | 亜鉛 | 小さく鳴った |
銅 | アルミニウム | 鳴った |
銅 | マグネシウム | 大きく鳴った |
亜鉛 | マグネシウム | 小さく鳴った |
銅 | 銅 | 鳴らなかった |
マグネシウム | マグネシウム | 鳴らなかった |
マグネシウム | 銅 | 鳴らなかった |
もっとも大きな音が聞こえたのは、銅とマグネシウムを使った時でした。この時の実験で発生した電流を測定すると下の写真のように、およそ150mAも流れていました。
+極に使ったマグネシウムリボンから、たくさんの泡が出ていることがわかります。
その次に大きな音が出たのは、銅とアルミニウムを使った時でした。
このどちらも電子オルゴールをつなげる向きを変えると音が聞こえなくなったことから、電子の動きの向きが決まっていることが考えられますね。
というわけで、
①+極になる金属、-極になる金属が決まっている
②金属の種類によって、流れる電流の大きさが変わる
結果から上の2点が明らかになりました。この2点について詳しく解説していきます!
+極に銅板、-極にマグネシウム板を用意した場合、オルゴールの音が鳴りましたが、金属板を逆にして-極に銅、+極にマグネシウムに変えると、電流は流れなくなりました。
つまり、電流が流れる向きが金属によって決まっているんです!
電子の動きを考えると-極の金属から電子が放出され、電子オルゴールを通って反対の+極に移動します。
つまり、-極になれる金属は電子を放出しやすいわけです。
これをふまえて電流の大きさについても考えていきます。
実験では、銅―マグネシウムと銅―亜鉛の組み合わせをした時のオルゴールの音や電流の大きさを比べるとマグネシウムのほうが、電流を流す力が大きいことがわかります。
つまり、マグネシウムの電子を渡す力が強いわけですね。
じゃあ反対の+極にある銅は関係あるんでしょうか?
この問題の答えは、銅―マグネシウムと亜鉛ーマグネシウムの音の大きさの違いを考えるとわかります。
マグネシウムの電子を渡す力だけで電流が流れるなら、亜鉛ーマグネシウムの電極でもオルゴールの音が大きく聞こえるはずです。
でも、亜鉛では小さい音しか聞こえなかったので、反対側の金属も関係していることがわかりますね。
反対側の極の金属は何をしているかというと、電子を奪おうとしています。
つまり、-極の金属は電子を渡そうとし、+極の金属は電子を奪おうとしていて、お互いの電子を渡す力+奪う力で発生する電圧が決まるわけです。
このように化学変化を用いて電圧を取り出す道具を化学電池といいます。
実験で使った、4つの金属を電子を放出しやすい順に並べると
マグネシウム>アルミニウム>亜鉛>銅
になります。このように電子を放出しやすい順に並べたものをイオン化傾向といいます。
ちなみに、今回の実験で使わなかった金属を並べると
K>Ca>Na>Mg>Al>Zn>Fe>Ni>Sn>Pb>(H)>Cu>Hg>Ag>Pt>Au
(語呂合わせ:貸そうかな、まぁあてにするな、ひどすぎる借金)
中学ではほとんど出てきませんが、高校では必ず覚えるので今覚えておいてもいいと思います。
まとめ
金属を2種類つなげて電解質の水溶液の中に入れると化学電池ができる
電子を放出しやすい金属が-極、電子をもらいやすい金属が+極になる
電子の放出しやすさを表したものをイオン化傾向という
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