生態系にすむ生き物の数の変化を読み取る!1匹に喰われる10000匹の生物たち

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生態系の中の生物の数はどうなっている?

サメとイワシはどっちのほうが多いでしょうか?

 

正解はサメです。きっと正解できたと思います。しかし、なぜサメのほうが数が多いのでしょうか?当たり前じゃんという気もしますが、大きな生物ほど数が少なくなります

今回は生物の数の関係について学んでいきましょう!

 

生態系の中では、植物→草食動物→肉食動物の順に食べられ階段状のピラミッドができます。

生物の数は最も食べられる数が多い植物が、量でも数でも最も多く、次に草食動物、最後に肉食動物という順になっています。

この関係をピラミッドで表すことができます。このピラミッドを生態ピラミッドと呼び数が多い生物ほど下に位置します

実際、森林の中にタカが1匹いるとすると、そこには1万の小鳥、さらに小鳥に食べられる1億を超える虫が存在しています。

 

生態ピラミッドは数が一時的に増えたり、減ったりしてもまた元のようにきれいなピラミッドになります。

例えば、山火事などで一気に植物が減ったとしたら、生態系はどうなるでしょうか?考えてみましょう!

植物が減るとどのようなことが起こるか考えてみると、植物を食べて生きている草食動物はエサが減ってしまい数が減ります

このようにして考えていくと、生態ピラミッドは下のように変化すると考えられます。

植物が減る

②植物が減る→植物を食べている草食動物が減る

③草食動物が減る→草食動物を食べる肉食動物が減る

 草食動物が減る→草食動物に食べられる植物が増える

④肉食動物が減る→肉食動物に食べられる草食動物が増える

⑤草食動物が増える→草食動物を食べる肉食動物が増える

というおおまかな流れで、もとの生態ピラミッドの形になります。

 

しかし、元に戻るならあまり気にしなくても大丈夫と思えますが、全然違います。

生態系で起こったことを3つ紹介します。

生態系が壊れる原因

生態系に起こる大きな問題は3つで、外来種絶滅した動物生物濃縮です。

1つ1つ解説していきます。

外来種

まず、外来種というのは、国外から来て、日本で繁殖した生物たちです。

例えば、アメリカザリガニ、セイヨウタンポポ、ミシピッピアカミミガメ、ブラックバスなどの種です。

日本は島国で、他の大陸から生物がやってくるということは、昔はほとんどありませんでした。しかし、貿易や人の行き来が多くなり、船や飛行機についた生物や種などが日本に入り、そこで繁殖しました。

それが外来種で、大陸では生物同士がすみかを争ったり、種を残すために進化したりと、多くの生物との闘いに勝った生物なので、島国である日本にいる生物に比べて繁殖する力が強いです。

だから、日本でのすみか争いに勝利し、もともと日本にいた生物の住む場所を奪ってしまいます。

そうして居場所を失った生物の数が減少し、次の絶滅した動物とつながりますが、生態系が壊れていく原因になります。

絶滅した動物・絶滅危惧種

次に、絶滅した動物について紹介します。

名前を挙げると、ニホンオオカミトキニホンカワウソなどがあげられます。

これらの動物も生態系に属していて、食べる・食べられるの関係があったんです。

だから、これらの動物を食べていた生物はエサがなくなりますし、食べられていた生物は数が増えます。

1つの種がいなくなるということはその環境に大きな影響を与えるということで、その先にどんな大きな生態系の変化があるかわからないので、1つの種でも絶滅しないようにしていかなければいけません。

 

実際、1年で1000種ほどが絶滅しているという予測もでており、日本にいる種でも絶滅してしまった動物や、その数が減って絶滅危惧種に指定されている生物も数多くいます。

動物の皮をコートにするために乱獲した過去も人類は持っています。高度な知能を持っている人間だからこと地球の生き物すべてのことを考えて行動しなければいけませんね。

生物濃縮

最後は生物濃縮というものです。

イタイイタイ病や水俣病を社会の授業で聞いたことがあると思います。これらの病気は工場からでた薬品が人の口に入ってきたことによります。

口に入ったと言っても直接入ってきたわけではなく、人間が食べた魚などから入ってきています。

工場から出た薬品が川に流れ、プランクトン→小魚→大きな魚→人というように、薬品が人の体に入ったわけです。

この時、プランクトンが受けるダメージと人が受けるダメージは全然違います

 

理由は薬品は体に残り続けるからです。生物は毎日他の生物を食べて生き、いらないものを体外に排出しますが、薬品は出しません。

その結果、食物連鎖の上にいる生物ほど多くの薬品を体内に貯めることになります。実際、プランクトンの体内の農薬の濃度とサケの濃度を比べると300倍以上違ったそうです。

このようにして、ある物質が高い濃度で体内に蓄積されることを生物濃縮といいます。

トキが絶滅したのも、田んぼに撒いた農薬が原因といわれています。

 

1962年にレイチェル・カーソンというアメリカ人の女性が「Silent Spring」(日本語では沈黙の春)という有名な本を出しています。

これは世界大戦後に各国が国を発展させようと農薬や殺虫剤をまきまくって、生物にとって有害な濃度になってしまったことを受けて、このままでは、人類も危ないという警告をしている本です。

めちゃ有名な本なので、生物濃縮とともに覚えておきましょう!

まとめ

生態系にすむ生物の数を生態ピラミッドであらわすことができる

生態ピラミッドの下ほど数が多く、植物→草食動物→肉食動物の順に数が少なくなる

食物連鎖の中である物質の濃度が高まることを生物濃縮という

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この記事を書いた人

私立中・高一貫校の現役理科教員です。
専門は生物学で、中学・高校理科の教員免許を持っています。
子供のころ勉強に使っていた学習サイトを自分でも作りたくでトライし始めました!
理科の授業を「何度でもふりかえる」ことが出来るように、知識+思考力がつくサイトにしていくのでよろしくお願いします!

コメント

コメント一覧 (1件)

  • 大変参考になる内容で,ありがたく読ませて頂いております。ところで,外来種に関する記載内容のミシシッピアカミミガメのところの名称が誤植?になっていると思いますが,いかがでしょうか?ご確認ください。

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