電気を使って水溶液を分解しよう!
水を電気分解した時に発生した物質は何か覚えていますか?
そうですね。水素と酸素でした。2年生で学習しましたね。
まだの人、分からなかった人はこちらの記事で確認してください。
化学反応式で表すと
2H₂O→2H₂+O₂でしたね。
電気によって別の物質に変えることができるんでした。
以前、電解質を水に溶かしてできた水溶液に、電気を流すとにおいのある物質が発生した実験を紹介しています。
〈復習〉
食塩水に電流を流すと、食塩水が少し黄色くなって、プールのにおいがした。
塩酸に電流を流した時も、同じにおいがした。
プールのにおいがしたということは、プールの消毒にも使われている「塩素」が電流を流したことによって発生した可能性が考えられますね。
今回は、塩酸を電気分解した時に発生する物質を解き明かしていきましょう!
塩酸とは塩化水素(HCl)の水溶液のことです。
塩化水素を作っている原子注目すると、水素(H)と塩素(Cl)がありますね!電気分解するとこの2つの物質が出てきそうな気がします!
実際に電気分解装置に塩酸を入れて、電気分解をしてみましょう!
5Vの電圧をかけて電流を流すと、陽極・陰極どちらからも気体が発生しました。
下の写真の右側が陰極で、左側が陽極です。
左側の陽極から発生した気体は、陰極から発生した気体に比べて体積が明らかに少ないですね。
この電気分解の実験は水素と塩素が発生する、と予想して行っています。
だから、陽極で発生した気体は塩素で、塩素は水に溶けやすい性質を持っているから、塩素が水に溶け、陽極に集まった気体の体積が小さいと考えられます。
陰極に集まった気体が水素であることを確認するために、陰極のゴム栓をはずして、すぐに火が付いたマッチを近づけると、ポンと音を立てて小さな爆発を起こしました!
つまり、陰極で発生した気体は水素であることがわかります。
陽極に集まった気体は塩素と考えられるので、その確認をします!
塩素の性質である、漂白作用で確認するために、赤色の水性インクで色を付けたろ紙を近づけた。
すると、写真のようにインクの色が消えました。さらに、ゴム栓を開けた時にプールの消毒のにおいがしたことからも陽極の気体は塩素と考えられます。
【結果】
塩酸を電気分解すると、陰極で水素が、陽極で塩素が発生する。
この実験を電源装置の電流の向きを変えて行うと、電極での反応も逆になるので、電気分解でできる物質には、電流の向きが関係していることがわかりますね。
電流の向きが変わると、電子が動く向きも変わりますね。ということは、電子の動きが電気分解には関係していそうですね。
それぞれの極で発生した気体と電子の関係を解き明かすために、ほかの物質も電気分解していきましょう。
塩化銅水溶液の電気分解
塩化銅は名前に銅とありますが、固体の状態では電気を通しません。でも、水に溶かすと電気を流すようになる電解質です。
塩化銅水溶液にも塩酸と同じように電気を流して、電気分解してみましょう。
塩化銅の化学式はCuCl₂なので、Cu(銅)とCl(塩素)が発生しそうな感じがしますね。確かめましょう。
炭素の棒を電極に使って、10%の塩化銅水溶液に差し込んで5Vの電圧をかけます。
この時、電極同士が触れてしまうと電極から電極に電流が流れてしまって、ショート回路ができてしまうので気を付けましょう。
3分くらい電圧をかけ続けると下の写真のように電極に変化が見られました。
陰極側に、赤色の物質がたくさん集まっています。これは色的には銅のように見えますが、とりあえず簡単に確かめられる金属であることを確かめてみましょう。
金属の性質は①金属光沢がある②熱・電気を通しやすい③展性・延性がある
この3つだったので、金属光沢と電流を流すかを確かめましょう。
赤色の物質をろ紙にとって、試験管の底でこするとキラッと光ったので、金属光沢をもつ金属であるとわかります。
この物質に電源装置と豆電球をつないで電圧をかけると、豆電球が光ったので、電気を流すことも確認できました。
つまり、この物質が金属であり、色から銅であることがわかります。(銅と確定するためには、密度や融点を調べないといけない)
実験をしていると、塩素のにおいがしたので、陰極の近くの水に赤色の水性インクで色を付けたろ紙を入れると、色が消えました。
このことから陽極からは塩素が発生したことがわかります。
【結果】
塩化銅の水溶液を電気分解すると、陰極に銅、陽極に塩素が発生した。
この実験も塩酸と同じように電流の向きを変えると、発生する物質も逆になった。つまり、電子の動きが関係しているとわかりますね。
塩酸と塩化銅水溶液を電気分解した時、どちらも塩素が発生していて、さらに発生した極に注目するとどちらも陰極で発生しています。
これは関係がありそうですね。
電子の流れを考えると、陽極から電源装置に向かって流れています。
つまり、電子を渡すことで、塩素分子ができていると考えられますね。
塩化銅を電気分解すると、陽極に銅がついてコーティングされているみたいですね。これを使うと、めっき作ることができます。
例えば、電気分解を使って鉄の表面にスズという金属をコーティングしたブリキは、表面のスズによって鉄がさびにくくなってます。
ほかにも、陽極で発生した銅は、混ざりものが少なく純度が高くなっています。
陽極に純度の低い銅などの金属を使って、陰極に集めると不純物が陽極の下に落ちて、純度が高い金属が陰極に集まります。
この方法を電解精錬といいます。
電気分解は身の周りのあまり知らないところで利用されているんですね!
まとめ
塩酸(HCl)を電気分解すると陽極に水素(H₂)、陰極に塩素(Cl₂)が発生する
塩化銅(CuCl₂)を電気分解すると陽極に銅 (Cu)、陰極に塩素(Cl₂)が発生する
できる物質と電気の動きは関係がありそう
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