虫眼鏡の仕組み
小学校の授業で虫眼鏡を使って黒い紙を燃やしたことがあると思います。
虫眼鏡はガラスを滑らかに削ってできて、その形から凸レンズといいます。漢字が表すように凸は真ん中が膨らんでいるからで、逆に真ん中をへこませるように削って作ったレンズは凹レンズといいます。
凸レンズで黒い紙を燃やすことができるのは、凸レンズは光を集めることができるからです。
太陽の光を凸レンズで集めると、光の道筋は上のようになり、太陽光が凸レンズで屈折して、1か所の点に光が集まります。この光が集まる点を焦点といい、凸レンズの中心から焦点までの長さを焦点距離といいます。
焦点に黒い紙を動かすと、光が集まってきてその熱で、紙を燃やすことができるんですね。
焦点距離は凸レンズを削る角度と材質によって決まるので、凸レンズによってさまざまです。
凸レンズはどんな道具に利用されている?
凸レンズは日常でも様々な場所で見ることができます。さて、なにに使われているでしょうか?
メガネ、カメラ、顕微鏡、天体望遠鏡、プロジェクターなどのレンズとして活用されています。人間の眼にも同じ仕組みが入っています。
そう、凸レンズの役割は光を集めることだけじゃないんです!
今回はカメラの仕組みを解明して、凸レンズにできることを学んでいきます。
カメラはレンズを通した風景を反対側にあるスクリーンに写して、記録することで、写真を撮っています。
太陽光などのとても遠くからの光は凸レンズに平行に入射しますが、近くの物体の場合は、下の図のように、光が入射するので、反対側に同じ像ができます。
反対側の像ができている場所にスクリーンを置き、それを読み取れば、写真になるわけです。
ちなみに、今回はろうそくの一番上の部分を作図(作図の仕方は下で説明)していますが、ろうそくの一番下も真ん中も、同じように作図をするとそれぞれ像の下、真ん中に写ってきます。
凸レンズによってうつる像を実験で確認してみたいと思います。方法はろうそくの前に、「イ」の形にくり抜いた厚紙を置いて、反対側の像にはどんな文字がうつるのか試してみました。
結果は上のようになり、凸レンズによってつくられる像は上下左右逆向きになることがわかりました。
カメラは一度、上下左右逆にできてしまった像をまた、逆にしてわたしたちが見たように戻す仕組みを持っていることもわかりますね。
凸レンズによってできる像の作図
凸レンズはいろいろなものに利用されていました。例えばルーペなら物体を大きくしてみることが、スクリーンなら大きな映像を映すことができますが、ピントを合わせるという作業が必要です。
作図をすることで、この時にできる像の大きさやスクリーンを置くべき位置がわかるようになりましょう!
作図のきまりとして、光源(うつすもの)は簡単にするために矢印で表します。
実際は光源から無数の光が出ていて、その一部が凸レンズに当たって、集められていますが、作図の時は、光源の一番上の点からでる次の3本の光のみを書きます。
光を書く時は必ず光の進行方向に矢印を書きましょう。
①光源から光軸に平行に直進して凸レンズの中心で、焦点に向かって屈折する光
②光源から凸レンズの中央に向かって直進し、屈折せずにそのまま直進し続ける光
③光源から手前の焦点に向かって直進し、凸レンズの中心で屈折して、光軸に平行に進む光(③は書かないこともある)
この3つの光が交わる点が像の頂点になるので、像の矢印の先端を交点に合わせて書きます。
この矢印の位置にスクリーンを置くと像がみえ、この像を実像といいます。
実像の矢印の長さが大きいほど、大きな実像になります。つまり作図をするとできる実像の大きさと凸レンズとの距離を知ることができます。
ちなみに、凸レンズは空気とガラスの境界で屈折するので、実際は2回屈折してしますが、作図を簡略化するためにレンズの中心で1回屈折しているように作図するように書きます。
物体ー凸レンズ間距離と像の大きさと距離の関係
一眼レフのような大きなカメラで写真を撮る時、レンズの部分が飛び出たり、戻ったりするのを見たことがありますか?
レンズが動くことによって、ズームができるからです。作図によってカメラレンズの動きを考えてみましょう!
焦点距離が20㎝の凸レンズを使って、光源を置く位置を焦点距離の3倍、2倍、1,5倍、1倍に変えて、その時にできる像を調べましょう。
作図をして、できた像の大きさと凸レンズとの距離に注意してみてみましょう。
作図の結果を表に表すとこのようになります。(焦点距離10㎝)
光源ー凸レンズの距離 | 実像の大きさ | 凸レンズー実像の距離 |
30㎝(3倍) | 光源より小さい | 15㎝ |
20㎝(2倍) | 光源と同じ | 20㎝ |
15㎝(1.5倍) | 光源より大きい | 30㎝ |
10㎝(1倍) | ー | ー |
結果から、光源と凸レンズの距離が遠いほど実像は小さく、凸レンズと実像の距離は短くなります。作図をすると簡単にわかりますね。
焦点距離のちょうど2倍の位置に光源を置いた時は、ちょうど同じ大きさの実像ができます。
凸レンズの位置を変えると実像の大きさが変わるので、カメラのレンズはズームすると出てくるんです。
ちなみに、この距離は1/(光源ーレンズの距離)+1/(レンズー実像の距離)=1/(焦点距離)になります。
焦点の上に置いた光源は、凸レンズを通るとすべて平行にすすむので、交点は出来ずに像は作られません。
実像はスクリーン上にできますが、ルーペや顕微鏡は自分の眼で見ますよね。ルーペで見る像は実像ではなく、虚像というスクリーンではなく、直接見える大きな像です。
虚像を見るためには、光源を焦点の内側に置きます。
焦点の内側に光源がある状態を作図するとこのようになります。
光は光源の反対側には集まらず、光源よりも左側に光を延長した線上に交点ができます。
交点に実際に光が集まっているわけではありませんが、人が光源と逆側からのぞいた時に光が真っ直ぐ進んできていると勘違いするので、そこに大きな像ができているように見えます。
この像が虚像で、実際の光源よりも大きな像がみえ、実像は上下左右逆に見えましたが、虚像は正立(そのまま)の像になります。
ルーペは虚像を見ているから大きく見えるんですね。
まとめ
凸レンズによってスクリーン上にできる上下左右逆の像を実像という
光源を焦点の内側に置いた時に見える正立の像を虚像という
作図するときは、光源から出た3つの光を書く
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