光が曲がる理由
光は直進する性質がありましたが、実は曲がる光を見ることもできます。その方法は、水を入れた水槽に光を斜めから入れることです。
斜めから入った光は、空気と水との境目で曲がります。
光は異なる物質に入射する時に、曲がる性質があり、これを光の屈折といいます。
空気中から水中に光を入れた時、屈折するまでの光を入射光、屈折した光を屈折光といいます。また、光の反射の時と同じように、境界面との垂線と入射光との角度を入射角、屈折光との角度を屈折角といいます。
なぜ屈折が起こるかというと、異なる物質では、光が進むスピードが違うからです(屈折率の違い)。水中では空気中に比べて、光が進むスピードが遅いので、光に少しの幅があると考えた時に、斜めに光を入射すると境界面に達した瞬間に、空気中に出ている部分と水中に入っている部分に分かれます。
空気中の光のほうが速く進むので、光が曲がります。
物質間の光の速さの違いが、光の屈折を生み出しているんですね。
なので、空気中から水中に光が入射する時は、入射角>屈折角になり、逆に水中から空気中に入射角<屈折角になります。
不等号を暗記するのではなく、光のスピードの違いで屈折することを考えられるといいですね。
水中で手の長さが違って見える理由
お風呂やプールの中で、手の長さが変わって見える経験をしたことがあると思います。
あの現象がなぜ起こるのか考えていきましょう!
ポイントは人間の脳は光は常に真っ直ぐ進んでくるの考えるというところです。しかし、実際の光は脳の考えとは違って屈折するので、そのズレによって曲がって見えるんです。
家でもできる簡単な実験をやってみます。
お茶碗でもなんでもいいですが、容器の中にコインを入れてギリギリコインが容器のふちで見えない場所に移動させます。
そのあとコインが動かないように容器に水を注ぐと、コインが見えなかった同じ場所からコインが見えるようになります。
さて、なぜこのように見えるのでしょうか?
作図をして、光の道筋を考えてみましょう。
水がない状態だと、光は青色の線を通るのでお茶碗のふちに当たって見ることができません。
しかし、水を入れると光は赤色の実線を通り目に入ります。この時、人はコインがあると認識することができます。ですが、人の脳は水との境界で屈折したから、コインはお茶碗の底にあるとは考えられず、光は直進するから光が来ている先(赤色の点線)にコインがあると考えてしまうので、コインが浮いているように見えてしまいます。
この脳と実際の光とのズレによって、水中の自分の手が短く見えてしまうというわけです。
水槽の金魚が2匹に見える理由
光の屈折を利用した技術についても学んでいきましょう!
水槽の中の金魚が水面に反射して、2匹に見えた経験はありませんか?
この現象はいまや欠かせない情報伝達技術に利用されているんです。
なぜ金魚が2匹に見えるかというと、水と空気の境界で、全反射という現象が起こるからです。
光が水中から空気中に出てくる時、入射角<屈折角という条件で光は屈折しました。では、入射角をどんどんと大きくすると、それに合わせて屈折角も大きくなっていきます。すると入射角がある角度(水と空気なら55°くらい)になると、屈折角が90°を超えてしまいます。
90°を超えるということは、光が外に出られないということで、その光はどうなるかというとすべて反射します。これが全反射です。全反射によって水中の金魚からの光は水面で反射して2匹に見えるというわけです。
これを応用したのが、光ファイバーという技術です。全反射を使って、ケーブルの中を光を曲げながら光を送ることが可能になったので、電気信号を長距離送れ、結果として速い通信が可能になりました。
虹が見える仕組み
ちなみに、虹が見えるのも光の屈折のおかげです。
光は屈折しますが、その曲がり方は光の色によって少し違います。赤色の光は屈折しにくいですが、紫色の光は屈折しやすいんです。(波長の違い)
屈折する角度の違いによって、光の色が分かれてみえるので、雨上がりの日に太陽光が空気中の水滴によって屈折させられ、虹が見えるというわけです。
同じ仕組みはプリズムレンズによって簡単に観察することができます。ぜひやってみてください。
まとめ
異なる物質間に光が入射すること時、光の屈折が起こる
空気中→水中に入射する時、入射角>屈折角となる
光が境界面ですべて反射することを全反射という
コメント
コメント一覧 (2件)
すごくわかりやすいんですが、学校で習った図と少し違う方、あっているのか少し不安です。作図はやり方が色々あると思うんですけど、違いすぎて…
この回答はあっているのでしょうか?
コメントありがとうございます。
学校で習った図と少し違う方とはどの図のことでしょうか?
教えていただければ、詳しく解説したいと思います。