金属に化合する酸素の量は決まっている!
化学反応が起こっても、質量保存の法則によって全体の質量は変化しませんでした。
しかし、鉄を加熱すると酸化鉄になって、質量が大きくなります。これは、鉄に酸素が化合するからです。
では、鉄を加熱し続けると質量は永遠に大きくなり続けるのでしょうか?
答えはあるところで質量の増加は止まります。理由は、酸素と反応できる鉄の量にあります。
今回は銅を使って、銅に化合する酸素の質量を調べます。
銅を加熱する実験
銅を加熱して酸化銅にすることで、質量の変化を調べてみましょう。
銅を蒸発皿の上に乗せて、加熱します。銅を完全に酸化させるために、混ぜながら何度も加熱しました。
銅を加熱すると色の変化が見られました。元の銅は赤色ですが、加熱した部分が茶色→青色→青紫色のようにきれいに変化していきました。
この色の変化は銅が酸素と化合して、銅の周りに酸化膜という膜ができることで見られます。きれいな色の変化ですね。家でもホットプレートに銅を乗せて加熱するとみることができます。
加熱後の銅の質量変化
実験では、銅を0.2、0.4、0.6、0.8、1.0gに測りとって加熱を繰り返しました。加熱後の酸化銅の質量を測りグラフを書くと下のようになりました。
グラフは比例のグラフになりました。銅と酸化銅の質量は比の関係になっているんですね。
銅1.0gから酸化銅1.25gができたことから銅:酸化銅=4:5の質量比になることがわかります。
酸化銅の質量は酸素の分、大きくなっているので、化合した酸素の質量は銅:酸素=4:1となります。
まとめると銅:酸素:酸化銅=4:1:5の質量比になっています。
この質量比は原子の重さに注目すると求めることができます。
周期表から化学反応する時の質量比を求める
銅の化学反応式は
2Cu+O₂→2CuO です。銅の原子1つに対して酸素原子1つが結合しています。
原子の数の比は1:1ですが、質量の比は4:1です。これは原子の質量は決まっていて銅の原子は酸素原子の4倍の質量であるからこのようになります。
周期表で酸素と銅の場所を見ると右のような数字が書いてあります。
左側の数字は原子の番号を表しており、下の数字は原子の質量を表しています。(この質量は最も軽い水素を1として考える)
銅の質量が64なのに対して、酸素の質量が16なので簡単な比で表すと銅:酸素=4:1になるわけです。
同じようにして他の化学反応も原子の質量から考えることができます。
マグネシウム:酸素は24:16なので簡単な比で表すと3:2になります。軽い金属ほど、同じ質量で比べた時に化合する酸素の質量は大きくなります。
そのほかにも鉄:硫黄=7:4のように酸素が化合する以外の化学反応の質量も計算することができます。
酸素の化合の質量計算問題をマスターしよう!
金属の酸化の計算問題はよく出題されます。ぜひマスターしましょう!
Q1.2.0gの銅から酸化銅は何g作れるか?
銅:酸化銅=4:5でしたね。ここから比で求めていきます。
比を使って計算する時のポイントは左側が銅で、右側が酸化銅のように、必ず物質を左右どちらかに固定することです。
求めたい酸化銅の質量をxとして式を立てると、
銅:酸化銅=4:5=2.0:xとなります。(左が銅、右が酸化銅)
比の計算は外側同士と内側同士で掛け算をすると求めることができるので、4×x=5×2.0となります。xを求めると2.5で酸化銅の質量は2.5gと計算できます。
Q2.酸化銅3.0gのうち酸素の質量は何gか?
今回も比で考えます。問題に出てきている物質は酸素と酸化銅なので、この2つの質量比の酸素:酸化銅=1:5を使って計算します。
求めたい酸素の質量をxと置いて式を立てると、
酸素:酸化銅=1:5=x:3.0になります。外側、内側で掛け算すると1×3.0=5×xとなり、x=0.6と計算できます。よって酸素の質量は0.6gです。
まとめ
一定量の物質に化合する酸素の質量は決まっている
銅:酸素=4:1、マグネシウム:酸素=3:2の比で化合する
質量の計算は比を使って簡単にできる
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