肺の役割
人間の肺は左右にひとつずつついていて、左右を合わせて1㎏弱くらいの重さで、呼吸によって気体の交換をしています。
生物の体内と外の空気を交換することを1つ1つの細胞が行う細胞の呼吸(内呼吸)と区別して、外呼吸といいます。
空気が薄い高いところを休みなく飛ぶことができる、鳥類の肺は一方通行になっていて、吸うことと吐くことを同時に行うことができますが、人間は吸う動作と吐く動作を別々に行っています。
呼吸をして息を吸うと胸が膨らみ、息を吐くとへこみます。肺が膨らんだり、もとの大きさに戻ることで呼吸をしていますが、肺には筋肉がありません。
筋肉がないと自ら運動することができないのに、なぜ膨らんだりすることができるのでしょうか?
筋肉がない肺を動かす横隔膜の役割
肺の下には横隔膜という筋肉があり、肺を動かす役割を担っています。ちなみに、焼き肉のハラミは横隔膜のことです。
横隔膜は筋線維で、縮んだり、ゆるむことができます。イラストで息を吸う仕組みを見てみましょう。
ポイントは肺の中と外との圧力の違いです。ポテトチップスの袋を高い山の上に持っていくと膨らみますが、体の中でも同じことが起きているんです。
横隔膜の筋肉が縮んで下がることで、肺側の体積が大きくなって圧力が下がるため、ポテトチップスの袋のように肺が広がります。肺が広がると、増えた体積分そのから空気が入りこんできます、これが、吸うときの仕組みです。
逆に息を吐く時は、縮んだ横隔膜がゆるんで横隔膜が上がると圧力がもとに戻って、肺も大きさが戻り息を吐き出すことができます。
肺で行われる気体の交換
口や鼻から吸い込まれた空気は気管を通って、左右に分かれる気管支になります。
気管は管になっていて、この管がふさがってしまうと呼吸ができなくなってしまうので、そうならないようにのどぼとけが守っています。のどぼとけは気管バリアなんですね!
のどぼとけをつまんで左右に動かしてみてください、すると動くことがわかり、管になっていることが確認できます。
気管の先にある気管支の先端は肺につながっていますが、肺は1つの大きな袋ではなく、小さなうすい膜でできた肺胞という袋の集まりになっています。
肺胞の数を数えると6億ほどになりますが、なぜ大きな袋ではなく、無数の小さな袋で呼吸を行っているのでしょうか?
肺胞には毛細血管が張り巡らされていて、心臓から送られてきた血液に含まれる二酸化炭素を外に出し、外から酸素を取り入れて全身に送る役割をしています。
この気体の交換を効率よく行うためには、外気を触れ合う面積を大きくすることが大切です。植物の根毛と同じですね。
大きな袋1つの場合、外気とふれあうことができるのは、実は少しだけになってしまいうので、小さな肺胞をたくさんつくると、その分全体で見た時にでこぼこが多くなって表面積が大きくなるんですね。実際に大きな袋と小さなたくさんの袋を書いてなぞってみると全然線の長さが違うことがわかると思います。
ヒトなどの哺乳類は肺胞によって大きな1つの袋よりも、表面積が大きくなって効率的に気体の交換ができるようになっていますが、皮膚呼吸ができるカエルの肺はこのような複雑なつくりではなく、大きな袋に近いシンプルなつくりになっています。
進化の過程で、肺の表面積を大きくし、高度で複雑な体を手に入れてきたんですね!
まとめ
横隔膜が動くことによって、肺がふくらんだりもとに戻ることができる
口や鼻から取り入れた気体は気管→気管支→肺の順に送られる
肺胞が無数にあることで表面積が大きくなり、気体の交換効率が上がる
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