キノコの生体に迫る
キノコがどこに生息してるか、何を食べているか、動物なのか植物なのか、どのくらい知っていますか?
今回はキノコの素晴らしいはたらきを元に、自然界の物質の循環について学んでいきましょう!
キノコは森や山に多くあるイメージがありますよね。これはキノコが食べているものに関係しています。
森に多く生息している理由は、キノコは動物の死がいやフン、落ち葉を養分にして生きているからなんですね。
死がいやフンは有機物で、キノコなどはその有機物を分解して二酸化炭素などの無機物に変えています。
キノコのように有機物を無機物に変える生物と、そのはたらきに関わる生物を分解者といいます。
有機物を無機物に直接変えてはいませんが、ミミズは落ち葉を食べてフンを出すことで、有機物→有機物と変化はありませんが、小さくして分解しやすくしているので、分解者に分類されます。
分解者は食べる・食べられるの関係の中の生産者・消費者で分類を分けると消費者になりますが分解者でもあるので、消費者+自然界の物質の流れからは分解者という少しわかりにくい分類になります。
微生物のはたらき
キノコは菌糸というものが集まってできていて、簡単に言うと、とても小さな細胞の集まりなんです。だから、キノコは微生物になります。
微生物というのは、肉眼で見ることができないほど微小な生物のことで、その多くは単細胞生物です。
微生物は一般的に細菌類や菌類、単細胞性の藻類、原生生物に分けられます。
細菌類・・核を持たない原核生物、例えば、大腸菌や乳酸菌です。
菌類・・・細菌類とは違い核がある真核生物で、カビやキノコ、酵母が入ります。
細菌類と菌類は似ていますが、核があるかないかというめちゃくちゃ大きな違いがあります。
アメーバやゾウリムシは原生生物に分類されていますが、ウィルスは微妙で微生物に入ることが多いですが、厳密には少し違います。このように微生物の仲間分けはかなり微妙なので細菌類と菌類がわかっていればいいと思います。
微生物は目に見えないので、微生物がいるのか、どんなはたらきをしているのか調べてみたいと思います。
〈実験方法〉
①デンプン溶液に寒天の粉末をいれて、電子レンジなどで溶かす。
②できたデンプン溶液を、加熱して滅菌したシャーレの上にのせて、冷やして培地をつくる。
③土を集めて、半分はそのままシャーレに乗せⒶもう半分は加熱し冷ましてからシャーレに乗せたⒷ
④暗い場所に3日置いたあと、土を取り除き、シャーレに作った培地を観察し、ヨウ素液を加えます。
この手順で実験を行ってみましょう。
〈結果〉
そのまま土を入れた㋐の培地では白い粒が見られました。これは微生物が無性生殖でふえて大きなかたまりになったもので、コロニーと呼ばれます。コロニーはもともとは1つの微生物がふえたものなので、同じ遺伝子を持っています。
加熱した土を入れたⒷ培地では、コロニーは見られませんでした。
これは加熱によって微生物が死んだからだと考えられます。
ヨウ素液の反応はⒶ土のコロニーが見られた場所では見られず、それ以外の場所では青紫色に変化していました。
この結果から、コロニーにいる微生物がデンプンを使っていることがわかります。
まとめると、微生物はデンプンを使って増え、コロニーをつくるということになります。
微生物を有効活用しよう!
微生物は土の中だけではなく、空気や水の中など、どこにでも存在しています。
有機物を無機物に変えるという微生物のはたらきは、わたしたちの生活の中の様々な場所で利用されています。
今回は3つの活用方法を紹介したいと思います!
下水の浄化
下水(トイレからの排水)は、以前はフィルターを通して、不要物を取り除いていましたが、フィルターの交換をしなければならず、コストがかかっていました。
現在は、水の中にすむ微生物のはたらきを使って、下水に含まれる有機物を分解して、きれいな状態にしています。
下水処理場では、下水の槽の中に微生物をたくさん入れて、水を循環させたり、微生物が生きるのに必要な酸素を送ったりして、水を浄化しています。
近所のどぶから腐った臭いがするのは、流れてきた有機物を栄養にして、微生物が大量に発生さえますが、酸素が送られることがないので、酸素の量が足りなくなり、酸素なしでも生きられる嫌気性細菌が増えて、こいつらは硫化水素をだすので、腐卵臭がします。
こうならないように、処理場では水の循環と酸素を送っているんですね。
発酵食品
発酵食品は微生物を利用して作られています。酵母や乳酸菌などの菌を利用して、有機物を無機物にする過程で様々な食品を作ることができます。
例えば、パン、しょうゆ、みそ、納豆、ヨーグルト、かつお節やチーズなどですね。
生ごみから肥料
田んぼに家畜のフンを撒く農業方法があります。これは、フンの中に含まれる有機物などを土の中の微生物が分解すると、窒素を含んだ化合物など、植物の育成に必要な栄養素を豊富に持った堆肥を作ることができます。
同じように、水を切った生ごみを落ち葉や土と一緒に混ぜて、2,3か月置いておくと、生ごみの臭いは消え、良質な堆肥を作ることができます。
これ以外にも微生物は抗生物質をつくる医療系や新しいプラスチックなど様々な利用がされています。
まとめ
肉眼でみられない生物を微生物と呼び、細菌類や菌類などに分類分けできる
有機物を無機物に変えたり、その手伝いをする生物を分解者という
微生物は下水処理や発酵食品、堆肥の生産など様々な利用がされている
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