脳が判断するまでの時間
陸上競技ではピストルが鳴った後、0.1秒以内にスタートするとフライングになります。
ちゃんとピストルが鳴った後にスタートしているのに、反則になってしまうのは、おかしくない?と感じるかもしれませんが、それには理由があります!
それは、人間が音を聞いて体を動かすまでには、0.1秒以上かかってしまうからなんです!
今回は人間が反応するまでには体の中でどのようなことが起こっているのか学んでいきましょう!
自分の反応スピードを調べることが出来る簡単な実験を紹介します。
手順は簡単で、誰かに協力してもらってものさしを落としてもらいます。
この時にキャッチするまでにものさしが落ちた距離を測ると、反応するのにかかった時間がわかります。
この実験の注意点は、落とす人の手元が見えてしまうとものさしの動きではなく、手の動きによってキャッチしてしまうので、手元を隠してもらうといいでしょう。
ものさしの長さと反応時間の関係は下の表のようになります。
ものさしの距離(㎝) | 0㎝ | 5㎝ | 10㎝ | 15㎝ | 20㎝ | 25㎝ |
反応にかかった時間(s) | 0秒 | 0.10秒 | 0.14秒 | 0.17秒 | 0.20秒 | 0.23秒 |
さて、どのくらいでとれましたか?平均値はだいたい20㎝の0.20秒くらいになります。
回数が増えるほど少しは反応時間が短くなりますが、5㎝でとることはほとんど不可能に近いです。0.001秒を争っている陸上選手でも、0.12秒でスタートを切れるならかなり優秀だそうです。
どんなに頑張ってもものさしを取るまでに0.1秒はかかっちゃいます。それよりはやい場合は運です(笑)
これは、ものさしが落ちるのを目で見てから、手を動かすまでに情報を伝えるまでに時間がかかってしまうからです。
人間の神経
人間は神経細胞という特殊な形をした細胞が、情報を電気信号という形で伝えています。
神経には2種類あって、中枢(ちゅうすう)神経と呼ばれる体のメインの神経と末しょう神経と呼ばれるそれ以外の体の隅々まで張り巡らされている神経です。
中枢神経と末しょう神経を合わせて神経系と呼んでいます。
中枢神経は、感覚器官からの外の情報を判断し、運動器官を動かす司令塔の役割をしています。
脳とせきずいが中枢神経であり、せきずいは背骨に沿ってついている器官です。
末しょう神経は、電気信号になった情報を伝える係で、感覚器官からの情報を中枢神経に伝える感覚神経と、中枢神経から運動器官に情報を伝える運動神経の2つがあります。
神経と器官の間で情報が行き来して、行動をしているということですね!
人がものさしが落ちるのを見てから手でキャッチするまでの経路はこのようになります。
感覚器官→感覚神経→せきずい→脳→せきずい→運動神経→運動器官という流れで信号を伝えて、手を動かしています!
実際の距離にしても1m以上はあるのに、それを約0.2秒ほどで、刺激を受け取って判断して行動することが出来ているので、すごいですね!
まさに、感覚器官&神経系&骨格&筋肉の連携プレーですね!
せきずいによる指令
ただ、0.2秒という時間は短いようで、長いです。さらにはやく反応できる時がありますが、いったいどんな時でしょう?
答えはたくさんありますが、例えば、後ろで急に大きな音がした時びくっと動きますよね。
こういう危険を感じた時は、人間ははやく行動できるようになっています。
間違えて火の中に手をいれてしまったら、情報を伝えて、0.2秒後に手を引っ込めていては遅いんです。大やけどです。
情報をはやく伝えために、人はどうしているのか。
答えは、信号が伝わる経路をなるべく短しています。具体的には下のイラストのように脳に信号を伝えずに、せきずいが判断して行動に移しています。
こういう危険な場合に起こる、刺激に対して無意識のうちにせきずいが指令を出して起こる反応を反射といいます。
せきずいが判断するから、熱いと脳が感じるよりも先に行動することが可能なんですね!
反射の例
危険を感じて回避する行動以外にも、暗い場所に入るとひとみが大きくなるといった反応も反射になります。無意識に行っているもの(自分で行動を止められないもの)は反射だと思えばOK。
反射の例を挙げると
・体のバランスと保つ
・体温を調節する
・消化液を出す(だ液も消化液)
・寝ている間も呼吸する
など様々な反射を意識しないうちに行っています。これらの例で、反射しなくなったら大変なことがわかると思います。
まとめ
神経系が情報を信号として伝えていて、中枢神経と末しょう神経の2種類がある
意識して行う反応は感覚器官→感覚神経→せきずい→脳→せきずい→運動神経→運動器官と信号を伝えて行っている
無意識に起こる反射は感覚器官→感覚神経→せきずい→運動神経→運動器官と信号が伝わっている
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