オスとメスから子を作るのは大変だけどメリットがたくさん!【有性生殖】

目次

植物の有性生殖

セイロンベンケイの葉はアメーバたちのように1つの個体から新しい個体をつくる無性生殖を行いますが、多くの植物はヒトなどの動物と同じように有性生殖を行います

1年生の授業では、被子植物では、おしべにあるやくで花粉が作られ、花粉がめしべの柱頭につくことで受粉して種子がつくられると学びました。

この過程をさらに詳しくみてみましょう!

 

被子植物の花粉には精細胞が入っていて、精細胞がめしべの胚珠の中にある卵細胞に受精して、精細胞と卵細胞が合体して、受精卵という新しい1つの細胞になります。

精細胞と卵細胞は特殊な細胞で、生殖細胞といいます。

なにが特殊なのかは、後で説明します。

 

受精するといいましたが、柱頭と胚珠はかなり遠くにありますよね

1年生の授業のときに、そんな簡単に卵細胞に会いに行けるの?と思った人はとても賢いです。

植物は精細胞が卵細胞に会いに行けるように、花粉管という専用の道を作っているんです!

精細胞が卵細胞のもとに運ばれていくまでの、植物の有性生殖のメカニズムについてみてみましょう!

 

花粉が柱頭に受粉すると花粉管という精細胞を運ぶ透明な管が伸びてきます。

花粉管はショ糖を溶かした水溶液に花粉を入れて、顕微鏡で観察するとみることができます

この花粉管の中を2つの精細胞が通って胚珠の中にある卵細胞に受精します。受精後、受精卵ができ、これが分裂することがとなります。

この部分が新しい生命です。ちなみに、胚は種子の中にあるので、種子を割るとでてきます。柿とかがわかりやすいですね。柿のたねのを切ったら白い部分ができてきます。

 

胚を含む種子が発芽し、種子からの養分を使って胚が成長して親と同じ種類の植物になります。

こうして新しい生命をつくる過程を発生といいます。

動物の有性生殖

動物の場合も生殖細胞が受精することで、新しい個体をつくります

動物の場合、メスの生殖細胞を卵(ランといい、卵巣でつくられます。オスの生殖細胞は精子といい、精巣でつくられます。

卵の核と精子の核が合体して、植物と同じように受精卵をつくり、受精卵は分裂して胚になります

受精卵が分裂を繰り返して、分かれていく過程を卵割(ランカツ)といいます。

有性生殖と無性生殖でできる細胞の違い

無性生殖は1つの個体から新しい個体をつくるので、無性生殖によってできる細胞は親と同じ染色体を持っていました。これは、体細胞分裂と同じように1つの細胞が複製を行って、2つの細胞に同じ染色体を渡すからでした。

しかし、有性生殖の場合は、減数分裂という方法で生殖細胞を子に渡します

減数分裂はペアになっている染色体の片方だけを生殖細胞に入れます。そのため、生殖細胞が持つ染色体の数はもともとの細胞の半分になります。

しかし、減数分裂で染色体の数を半分になりますが、雌雄の生殖細胞が2つで受精することで、もとの染色体の数になります

有性生殖では雄と雌から染色体をもらうので、両親のどちらとも違う細胞がつくられるというわけです。

 

イラストで表すと下の様になります。染色体は2本で1ペアであることを思い返して見てみてください。

父親の染色体は青と緑を持っています。父親の体で体細胞分裂が行われるときは、青と緑の染色体がそれぞれ複製で2倍になり、2つの細胞に分かれます

一方、生殖細胞は減数分裂によってつくられるので、青の染色体が入った精細胞と緑の染色体が入った精細胞が1つずつできます。

母親の方からも赤の染色体と黄の染色体を持った卵細胞が1つずつできます

受精卵は精細胞と卵細胞からなるので、例えば、父親の緑の染色体を持った精細胞と、母親の黄の染色体を持った卵細胞からできたとすると、子は緑と黄の染色体を持った、どちらの親とも違う細胞を手に入れます。

 

今回の例では、たまたま緑と黄を選びましたが、組み合わせによっては、他の3種類の細胞の子ができる可能性があります。つまり1つのペア染色体から4種類の子が生まれる可能性があるということです。

人の場合は23ペア染色体があるので、4の23乗パターンの子が生まれるわけです。そりゃ兄弟でも別人になりますね。

有性生殖と無性生殖の利用

有性生殖の利点は新しい染色体を持つ子を作ることができることで、これを農業に利用すると、おいしいけど病気に弱いイチゴと病気に強いけどまずいイチゴを掛け合わせて、おいしくて病気に強いイチゴをつくることができます。

また、無性生殖の利点は親と全く同じ染色体を持った子を作れることです。

 

じゃがいもは受粉させて有性生殖で子をつくることもできますし、いもを植えて無性生殖で子を作ることもできます。

なので、有性生殖によって良い染色体を持ったじゃがいもを受粉を通して作った後、できたいもを植えて、無性生殖で同じ染色体を持った個体を作れば、優秀なじゃがいもをたくさんつくることができます

このような手法は農業で多く利用されています。

まとめ

オスとメスの生殖細胞が受精して新しい個体をつくる生殖を有性生殖という

花粉が受粉すると花粉管が伸びて、精細胞がそこを通って卵細胞まで運ばれる

生殖細胞は減数分裂によってつくられ、染色体の数は半分になる

合わせて読むと理解が深まる記事!

https://hario-science.com/asexual-reproduction/

https://hario-science.com/somatic-cell-division/

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

私立中・高一貫校の現役理科教員です。
専門は生物学で、中学・高校理科の教員免許を持っています。
子供のころ勉強に使っていた学習サイトを自分でも作りたくでトライし始めました!
理科の授業を「何度でもふりかえる」ことが出来るように、知識+思考力がつくサイトにしていくのでよろしくお願いします!

コメント

コメントする

目次