発電にも使われる「磁界の変化」で電流を生み出す仕組みを解明しよう!【電磁誘導・誘導電流】

目次

発電の仕組み

わたしたちの生活は超豊かになっています。

コンセントを刺せば、便利な電化製品が使え、スマホやゲームもできます!

コンセントの電気はどこからきているんでしょうか?

そう!発電所です!

○○発電所の○○の中に入れれるものを何個思いつきますか?

火力、水力、風力、原子力、地熱、太陽光、、、

いろいろありますね!

Q.発電所ではどうやって電気を作っているんでしょうか?

発電方法はいろいろありますが、基本の原理は手回し発電機と同じです。

タービンという車輪のようなものを回転させることで発電します。

タービンを回すために火を使うのか、風を使うのかといった違いだけで発電の名前が変わっているんですね!

詳しい解説は別のページで

簡単に発電の原理を説明すると、タービンの回転によって磁石を回すことで電圧(電流)が発生します。

今回は発電の仕組みについて解き明かしていきましょう!

今回の課題発電所でタービンを回すとどうして発電できる?

前回のブランコの実験では磁界の中を電流が流れると導線に力がはたらくことがわかりました。

フレミングの法則のことですね。

↓フレミングの法則についてよくわからない人はコチラを先に学習してね

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ブランコの実験は電流と磁界から力を生み出しています!

フレミングの法則は電流・磁界・力の3つが垂直に交わる関係がありましたね。

実は3つの要素の中で2つの要素があれば残りの1つを作り出せるというものなんです!!

 

発電所では、タービンで磁石を回転させています。

つまり磁石が動くことによって、磁界と力の変化があるわけです。

それによって電流を生み出すことができるんですね!

POINT磁界と力から電流を生み出せる!

今回は磁石を動かして、磁界と力を変化させることで生まれる電流(電圧)を調べてみたいと思います!

 

コイルの近くで磁石を動かすことで、発電所と同じ原理をつくって、コイルに流れる電流を調べます。

コイルに流れる電流を調べるのには検流計を使います。

検流計は電流計と同じで、電流を測る器具ですが、使い方がすこし違います。

検流計の針を見るとわかりますが、針が真ん中にありますね。

この針はわずかな電流に反応して、どちら向きにも振れることができるんです!

POINT検流計は「電流の向き」まで測ることができる

ちなみに、電流計の針が右側に振れた時は電流が+端子から流れ込んだとわかります。

さて、検流計を使って、実験器具を組み立てて、磁石を動かしてみましょう!

実験器具といってもコイルに検流計をつなげただけのシンプルな装置です(笑)

実際に磁石を入れてみると、

検流計の針が振れました!電流が流れていますね。

コイルに磁石を入れただけなのに、不思議!

この電流は磁石の動きとどのような関係があるのでしょうか?

さっきの実験では、磁石のS極を近づける⇒検流計に右から左に電流が流れることがわかります。

 

じゃあ、条件をいろいろ変えて試してみましょう。

①磁石の向き(S極・N極)を変える

②磁石の動き(近づける・遠ざける)を変える

③磁石を動かす速さを変える

この3つの条件で電流がどう変化するんでしょう。

①磁石の向き(S極・N極)を変える

S極を磁石に入れると

写真のように検流計の針はに振れました

磁石の向きを逆にしてN極を近づけると

針はS極を近づけた時の逆で、に振れました

磁石の向きを変えると電流の向きも変わることがわかりましたね!

磁石から出ている磁力線と電流の向きが関係していそう?

②磁石の動き(近づける・遠ざける)を変える

S極を近づけた時は

S極を入れた時とは逆にに振れました

入れる時と出す時では電流の向きが変わりそうですね。N極を出した場合はどうでしょうか?

やっぱり入れた時の逆に振れましたね!

S極・N極を変えたり、入るか出すかを変えたりすると電流の向きが変わることがわかります。

ということは、磁力線の向きが関係していそうですね!

磁力線の動きに注目して考えてみましょう!

コイルは磁界の変化を嫌います。なので、磁石が入ったり出たりする時の変化を減らそうとします。

どうやって磁界の変化を減らすかというと「右ねじの法則」です。

磁界の変化を消すために、コイル内に反対方向の磁界を作ろうとします

この時に作る磁界を生み出すために右ねじの法則によって電流を作っているわけです。

S極・N極を入れ替えた時に電流の向きが変わったのは打ち消すために作る磁界の向きが逆になるからなんです。

入れる時と出す時でも変わったもの同じ磁界の向きが変わったからという理由ですね。

POINTコイル内では磁界の変化を打ち消すように電流を作っている!

③磁石を動かす速さを変える

磁石を速く動かすと、針の振れは大きくなりました。

逆にゆっくり動かすと検流計の針の振れは小さいです。

じゃあコイルの中で止めたら、針はどうなるでしょうか??

磁界が変化しないから針は振れない!

そういうことです!

 

速く動かす→電流が多く流れる

動かさない→電流は流れない

つまり、磁界の変化が大きいほど、大きな電流が流れるというわけですね!

実験のまとめ

①コイル内の磁界が変化すると電流が発生する

磁界の向きを逆にすると流れる電流の向きも逆になる

磁界の変化が大きいほど大きな電流が流れる

今回の実験でコイルをつらぬく磁界が変化すると電圧が生まれることがわかりました。

この現象を電磁誘導といい、電磁誘導によって発生した電流を誘導電流という。

磁界の変化が大きいほど誘導電流も大きくなります

誘導電流を大きくする方法

上の実験の結果も合わせて誘導電流を大きくする方法は3つあります。

・磁界の変化を大きくする(磁石を速く動かす)

・磁界を強くする(強い磁石に変える)

・コイルを多く巻く

磁石を強くしたり、コイルをたくさん巻くと電圧が大きくなるので、発電所などの施設では、このような工夫によって効率的に電気を作っています。

それでも発電所のエネルギー変換効率は40%くらいなので、この電磁誘導の仕組みを改良できればエネルギー問題の解決になるかもしれませんね。

発電所では磁界(タービン)を変化させて電流を生み出しているんだね!

身のまわりの電磁誘導

わたしたちの身のまわりには、たくさん電磁誘導が利用されています。

例えば、電車に乗る時はSuicaなどの電子マネーってタッチするだけで決済できますよね。

Suicaのまわりには実はコイルが使われていて、改札機の読み取り機からでる磁界の変化によってカード内のICチップに記録されています。

クレジットカードもICチップによって判別しています。


IH(Induction Heating:誘導加熱)調理器にもコイルが使われていて、内部に電流を流すことで、まわりの磁界を変化させて、置いた鉄製の鍋などに電流を流すことができます。

鍋に流れた電流が発生させる熱によって調理を行っているんです!ものすごい発明ですね!

 

実は、自転車にも電磁誘導が利用されています。

自転車のライトは車輪が回っていれば、光らせることができます。

このライトの電流は電池式のものもありますが、車輪の回転で磁石を回して電磁誘導で電流をつくるハブダイナモと呼ばれる装置が入っているタイプが主流になっています。

日常でコイル自体は見かけませんが、実は私たちの生活を裏で支えてくれているんですね!

今日のまとめ
コイル内の磁界が変化すると電圧が生じる

 

この電圧を電磁誘導といい、流れる電流を誘導電流という。誘導電流の向きは

①磁石の向きを逆にする②磁石の動きを逆にする と逆になる

誘導電流を大きくするには①磁石を速く動かす②強い磁石を使う③コイルを多く巻く

次の学習

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この記事を書いた人

私立中・高一貫校の現役理科教員です。
専門は生物学で、中学・高校理科の教員免許を持っています。
子供のころ勉強に使っていた学習サイトを自分でも作りたくでトライし始めました!
理科の授業を「何度でもふりかえる」ことが出来るように、知識+思考力がつくサイトにしていくのでよろしくお願いします!

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