アルミ缶とスチール缶の分別方法
地球上にある資源は有限です。
現在日本において、ごみのリサイクル率は約10%とかなり低いです。
これまで、日本で出たごみを中国やマレーシアに買いとって貰っていましたが、最近は輸入が拒否されて日本に残ったごみの処理に困っている問題があります。
リサイクルすればいいじゃん!
そうですね!しかし、空き缶にはアルミ缶とスチール缶があり、リサイクルするには素材ごと分けなければいけません。
もちろんごみを捨てる時点で、100%分別されていればいいんですが、そんなことをはないので、科学の力で分別をしましょう!
簡単な問題ですね!磁石を使えばいいんです!
2つの缶の違いは磁石につくか、つかないかです。
スチール缶は主に鉄からできているので、磁石に引き付けられますが、アルミ缶は引き付けられません。
これを利用して、スチール缶とアルミ缶がごちゃ混ぜになっている缶に磁石を入れることで簡単に分別することができます。
でも、これだと一度磁石にくっついたスチール缶はくっつきぱなしで、離れないので分別ができないことがわかりますか?
スチール缶が磁石に付きっぱなしだと分別にならない、、、
ということは、ただ磁石を使うだけでは分別できませんね。
POINTアルミ缶とスチール缶を分別するには磁石のON・OFFが必要
そこで、磁石のON・OFFを可能にしたものがあります。それが電磁石です!
電磁石(コイル)とはエナメル線などの導線を巻いたものです。
コイルに電流が流れている間、コイルは電磁石としてはたらきますが、電流を止めると電磁石のはたらきを失います。
この性質を利用してごちゃ混ぜの缶の中では電流を流してスチール缶を集め、持ち上げた後は電流を止めて、好きな場所にスチール缶だけ落として集めることができます。
電気の力で磁石のON・OFFを変えられるんだ!
導線に電流を流すと磁石になるって不思議ですよね。
今回は電流と磁力の関係について学んでいきましょう!
電流と磁力の関係を解き明かそう
電磁石の仕組みを理解するために、まずは1本の導線に電流を流した時の磁界の様子を観察してみましょう!
実験装置はこの道具を使います。
金属棒が刺さっていて、上にはコイルが設置できます。
電源には工夫があって、ボタンを押すとON・OFFを切り替えることができ、また、電流の向きも簡単に入れ替えられるようになっています。
この装置で金属棒の磁界とコイルの磁界の観察をしてみましょう。
金属棒の磁界
金属棒の周りに方位磁針を置いて電流を流してみましょう。
電流を流す前は5つ全てが北(右)をさしていますね。
下から上に向かって電流を流すと方位磁針の動きはこうなりました。
上から見ると方位磁針の針が時計まわりに回っているように見えます。
針の動きが小さいので、方位磁針を棒に近づけてみます。
針の動きが大きくなった!
そうなんです。磁界の強さは電流との距離も関係しているんです!
さて、金属棒でできた磁界を考えてみましょう。
磁力線を書くとこのようになりますね。
電流の向きを逆にしてみましょう。
方位磁針の動きが逆向きに変わりましたね。
つまり、電流の向きと磁界の向きには関係があることがわかります。
この電流と磁界の関係は右ねじの法則で説明できます。
右ねじの法則は電流と磁界の向きをわかりやすく理解するために超使える方法のことです。
実際に自分の手を動かしながら理解していきましょう!
右手でグッドを作ります。
このグッドを作っている指の親指とそれ以外の4本の指を分けて考えます。
親指を電流の向き、それ以外の4本の指を電流によってできる磁界と見立てます。
最初の実験に結果と右手を見比べてみましょう。
色で表すと黄色が電流、青色が磁界です。
下から上に電流を流した時の実験結果の確認もできればOK!
磁界の向きが反時計まわりになっていることがわかりますね。
簡単ですね☆
POINT電流の周りを磁界が右ねじの方向に回っている
この実験だと、方位磁針の動きはあまり大きくはありませんでした。
そのため、方位磁針をなるべく金属線に近づけると動きが大きくなりました。
磁石に近づけるほど方位磁針の動きが大きくなるのと同じように、距離も関係していました。
じゃあもっと大きな磁力を作ることはできないんでしょうか?
さて、今回は金属線1本に電流を流して磁界を作りましたが、弱い磁力しか作れませんでした。
金属線1本=弱い磁界なら、たくさんの金属線を使えば解決?
ということで、たくさん導線を巻いたコイルを使って実験をしてみましょう。
コイルに電流を流した時の磁界を観察しよう!
1本の電流の磁界が弱かったので、多くの電流を流せるコイルを使えば、強い磁界を作ることができそうですね。
コイルの近くのいろいろな場所に方位磁針を置くと写真のようになりました。
コイルの中にも方位磁針を入れられるように導線を少しだけ巻いたコイルを使っています。
電流の向きとコイルの磁界を考えるとこのようになりますね。
コイルの磁界は1本の線になっているんだね!
ただこのコイルで作る電磁石は鉄を引き付けるほど強い磁力を持っていないので、もっと強い電磁石を作ってみましょう!
そうして作った強い電磁石がこれです!
巻き数が少ないコイルでは金属チップは集まらなかったのに、このたくさん導線を巻いた電磁石にはたくさんの金属チップを集めることができました。
つまり、コイルの巻く数が多いほど強い電磁石ができるんですね。
しかし、このコイルの工夫は導線の巻く数だけではなく、コイルの中身にもあります。
このコイルの中には鉄の棒(鉄心)が入っています。この鉄心によって磁力が大幅に強化されるんです!
実際コイルの鉄心を抜くと磁力はものすごく弱くなります。
磁力が全然違う!
(チップがほとんど落ちていますが磁力はわずかにあります)
難しい話ですが、コイルの中にある物質の磁力の通しやすさによって電磁石の強さが変わるんです!
まとめると
電磁石を強くする方法
・電流を大きくする
・コイルの巻き数を増やす
・コイルに鉄心を入れる
ということですね!
コイルの磁力線も右ねじの法則で解決!
なんとコイルの磁力も右ねじの法則で考えることができます。
1本の電流の場合は、電流を回るように磁界が発生していました。
それを右ねじの法則に当てはめると親指=電流、4本の指=磁界でした。
コイルの場合は、コイルの中に1本の磁界があって、その周りに電流が流れています。
コイルの場合も同じように右ねじの法則を使って考えられるんです!
1本の電流の時は電流の周りを磁界が回っていましたが、
コイルは逆で、磁界の周りを電流が回っています!
この違いがわかればあとは簡単♪
グッドを作って親指=磁界、4本の指=電流に合わせればOK!
今日のまとめ
電流と磁界の関係は右ねじの法則で考えることができる
電磁石を強くするには
①電流を大きくする
②コイルを多く巻く
③強い磁石を使う
④中に鉄心を入れる
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