瞬間冷却材って知っていますか?
夏になると暑くて、何とかして涼しくしたいですよね。
アイスを食べたり、エアコンを付けたりしますが、温度を下げる道具はどんなものがあるでしょうか?
熱が出た時、おでこに貼る熱さまシート(冷えピタ)やけがをした時に冷やすコールドスプレーが思い浮かびますね。
熱さまシートの仕組みはシートのジェルに含まれている水分が液体から気体の状態変化する時に周囲の熱を奪うことで、冷やしています。打ち水をするのと同じ原理です。ちなみに、エアコンも状態変化を利用しています。
コールドスプレーも状態変化を使って冷やしています。缶の中には、圧力をかけて液体にしたガスが入っていて、噴射すると液体のガスが気体に戻り熱を奪います。中に入っているガスは揮発(蒸発)しやすい性質があるので、状態変化しやすくなっています。
状態変化以外でも温度を下げる方法があります。それは化学変化を使う方法です。
瞬間冷却材は化学変化を利用して温度を急激に下げることができる道具で、袋を叩くと、中に入っている小さい袋が割れて化学変化が始まります。 使い捨てカイロは温度を上げる化学変化なので、その逆です。↓瞬間冷却材はこれ
熱を奪う反応の仕組み
では、瞬間冷却材はどのような化学変化で温度を下げているのでしょうか?
裏側の原材料をみると、尿素、硫酸アンモニウム(硫安)、水と書いてありました。今回は同じような物質を使って試験管の中で、反応をさせてみます。
使う物質は塩化アンモニウム、水酸化バリウム、水の3つです。これらを順に試験管に入れてから温度計を刺して、温度変化を調べます。

反応が始まると、ほんの少しだけ温度が下がりました。思ったよりもはるかに温度は下がりませんでした。
反応中の試験管のにおいをかぐと刺激臭がしたので、フェノールフタレイン液を付けた脱脂綿を試験管の口に付けると赤色に変化しました。
このことから発生した気体はアンモニアと考えられます。
この化学反応式は
2NH₄Cl+Ba(OH)₂→BaCl₂+H₂O+NH₃ です。
この化学変化が起こる時、周りの熱を奪います。このような熱を奪う反応を吸熱反応といいます。また、出入りする熱を反応熱といいます。
吸熱反応があまり起こらない理由
吸熱反応の実験をしましたが、温度はあまり下がりません。
買った市販の瞬間冷却材を使ってみましたが、最初は氷のように冷たかったですが、3分で水と同じくらいになってしまいました。(150円の安いやつだったからかも)
吸熱反応は起こりにくいんです。その理由を簡単に説明していきます。
分子は原子が結合してできています。この結合はエネルギーによって繋がっています。つまり、結合が離れる時にエネルギーが外に出ます。これが熱として外にできてきます。
多くの場合、分子の結合は化学変化によってエネルギーが小さい組み合わせになるように変化します。そのため、結合に使われるエネルギー小さくなり、その分が反応熱として熱をだすことが多いんです。
そのため基本的に化学変化は発熱反応で、吸熱反応は起こりにくく、起こったとしても温度変化は小さいです。熱を奪うのは状態変化のほうが効率的といえますね。
まとめ
熱を奪う化学変化を吸熱反応といい、出入りする熱を反応熱という
吸熱反応は起こりにくい
コメント