ヒトは何個の細胞からできている?
すべての生物は、小さな部屋のような細胞というものでできています。細胞という言葉を聞いたことがあるかもしれません。1665年ロバート・フックが顕微鏡を使って初めて細胞を発見しました。
さてこの細胞ですが、私たちの体は何個の細胞からできているでしょか?
正解は37兆個もの細胞から体ができています。一つ一つの細胞の大きさはその種類にもよりますが0.01mmくらいです。この小さな細胞が膨大な数集まって、体ができています。
今回は細胞を観察して、細胞の中には何があるのかを解明していきたいと思います。
動物の細胞の観察をしよう
人間の細胞は簡単に観察することができます。
細胞同士は隣の細胞と結合しています。なので、観察する時には結合がはがれやすい場所の細胞が適しています。
なので、ほっぺの内側のはがれやすい細胞を使います。細胞の取り方は、綿棒でほっぺの内側を強めにこすります。こすった綿棒をスライドガラスに乗せます。細胞は肉眼で見ることはできませんが、白い筋のようなものが見えれば細胞が取れています。
細胞を見る時に、染色液をかけると細胞の中に存在する核が染色されて観察がしやすくなります。染色液は酢酸カーミン液か酢酸オルセイン液が使われます。ちなみにどちらもほとんど同じですが、酢酸オルセイン液のほうが染色が濃く、少し値段が高いです。
顕微鏡でほほの細胞を観察すると下の写真のように見えます。
丸く見えるものがほほの細胞です。染色液をかけたほうは細胞の中にある核が染色されているのがわかります。
植物を食べるとシャキシャキする理由
動物であるヒトの細胞を観察しましたが、次に植物の細胞の観察をしてみましょう。
顕微鏡で観察するときは、厚みのあるものはピントを合わせることができないので、なるべく薄い細胞を使うほうが見やすく観察できます。なので、薄い細胞を簡単に取り出せるタマネギを使います。
タマネギの白い食べる部分の内側には、皮が付いています。これは手で簡単にめくれるので、これをスライドガラスに乗せ、染色液をかけて観察をします。
タマネギの細胞はぴっちりと並んでいます。染色液をかけたものに中には動物と同じように細胞の中に核が見られます。
また、よく見ると、細胞の境目が動物とは異なって、分厚くなっています。これは細胞壁というつくりで、動物の細胞には存在しません。
動物の肉は噛むと柔らかいですが、レタスなどをイメージするとわかりやすいですが、植物は噛むとシャキシャキしていますよね。このシャキシャキしているのは、植物の細胞には細胞壁が存在しているのが原因です。
植物は葉緑体があることを学びましたが、タマネギの細胞には葉緑体は見られませんでした。葉緑体はすべての細胞にあるわけではなく、緑色で光合成する細胞にしか存在しないんですね。タマネギの白い部分は太陽に当たりませんもんね。
動物と植物の細胞の違い
植物の細胞には動物の細胞にはない細胞壁が存在します。
なぜ、植物の細胞には細胞壁が必要なのでしょうか?
細胞はこれまでの進化の過程で無駄がなくなって完璧な状態になっています。なので、動物には細胞壁がなく、植物にはあるのには理由があります。
動物と植物の大きな違いは「動く」ことができるか、できないかです。動物は敵が襲ってきても逃げることができます。しかし、動くことができない植物は、敵から逃げることができず、簡単に食べられてしまいますし、踏まれることもたくさんあります。
だから植物の細胞は、細胞自体を強くするために細胞壁を持っています。そのほかにも動けない植物だからこと存在するつくりがあります。
イラストで見てみましょう。
〈動物の細胞〉
細胞膜・・・細胞を囲む膜。細胞の中と外を分けて物質の出入りを管理している。
細胞質・・・細胞の中に満たさせている物質
核・・・細胞の中にあり、体の設計図が入っている
これらの3つは植物の細胞にもありますが、さらに植物だけには3つのものがあります。
〈植物の細胞にしかないもの〉
細胞壁・・・細胞を強くするためのつくりで、細胞膜の外側にある。
葉緑体・・・光合成を行うための場所。葉緑体のおかげで植物は食べることなく、栄養をつくることができます。
液胞・・・細胞でできた不要物をためておく場所。不要物をためるほど液胞は大きくなり、細胞が死ぬときまでなくならない。動物は排出(トイレ)をすることができるので、液胞が存在しません。
植物は動くことができないので、細胞自体のつくりを変えて生きているんですね。ちなみに、細胞の中には、それ以外にも、ミトコンドリアやリボソーム、ゴルジ体などが存在しています。
まとめ
生物は細胞という小さな組織が集まってできている
動物の細胞には、核、細胞膜、細胞質が存在し、
植物の細胞には、それ以外に、細胞壁、葉緑体、液胞が存在する。
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