体の中の「いらないもの」を外に出す仕組みはどうなっている?

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肝臓のはたらきはどんなもの?

肝臓は体の中で最も大きな臓器で、体重の約2.8%で1~1.5㎏くらいの重さがあり、肺の下の横隔膜の下らへんに存在しています。

肝臓は沈黙の臓器と呼ばれ、異変が起きても体に異常が見られず、気が付いた時には大変な状態になってしまっている臓器です。

肺は呼吸、心臓はポンプというように1つの器官は主に1つの役割を持っていることが多いですが、肝臓は多くの役割を持っています。なので、異変が起こってもわかりにくいのかもしれませんね。

肝臓の持つ役割はどんなものなんでしょうか?

肝臓の役割は大きく分けて3つあります。

①エネルギーを蓄えること

 体内に吸収されたブドウ糖はすぐに活動に必要なエネルギーに変化されるものもありますが、ブドウ糖の一部は、肝臓と筋肉に蓄えられます。この時ブドウ糖は蓄えるのに適していないので、グリコーゲンという蓄えやすい物質に変化されています。

②胆汁をつくること

 肝臓では胆汁が作られています。胆汁は脂肪の消化を助ける消化液でした。消化液について詳しくはコチラ!肝臓で作られた胆汁は、一度胆のうに蓄えられた後に小腸に送られて脂肪の分解を助けます。

③体内の有害な物質を無害な物質に分解すること

 肝臓が分解する有害な物質のメインはアンモニアアルコールの2つです。アンモニア(NH₃)はタンパク質を消化する時に出てしまう物質で、人の体にとっては有害です。アンモニアは水に溶けやすいので、血液中に溶け込んでいますが、肝臓に送られた血液の中のアンモニアは尿素という無害な物質に変えられてじん臓に送られます。

 アルコール(エタノールのこと)も肝臓で分解され、アセトアルデヒドになった後、体に無害な酢酸に変えられます。この肝臓の機能が強いほど、お酒に強いというわけです。基本的にお酒に強いかどうかは遺伝で決まります。

このように肝臓は多くのはたらきをしており、再生能力も代謝能力も優れている器官ですが、弱まった時に気がつきにくいので、だからこそお酒を飲まないなど大切にしないといけませんね。

体の中でできる不要な物質はどこに行く?

細胞では、常に細胞の呼吸を行ってエネルギーを取り出していますが、その時にいろいろないらない物質ができてしまいます。

植物の細胞はこのいらない物質を液胞の中にため込むことができますが、動物にはそのようなつくりがないので、体の外にいらない物質を出すことができます。この機能を排出といいます。

排出にかかわる器官は主に肝臓とじん臓です。

肝臓によってアンモニアが変化した尿素は血液を通ってじん臓に運ばれます。運ばれた尿素はじん臓が持つろ過機能によって、その他の体にとって不要な物質ともにこしとられます

こうして回収された尿素などは、輸尿管を通ってぼうこうに運ばれて尿となって体の外に排出されます。こうして排出される尿は1日で約1.5Lになります。

まとめ

体にとって不要な物質を体の外に出すこと排出という

肝臓のはたらきは①エネルギーを貯める②胆汁をつくる③有害な物質を無害に変える

肝臓でつくられた尿素じん臓で回収された後、輸尿管を通ってぼうこうに運ばれる

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この記事を書いた人

私立中・高一貫校の現役理科教員です。
専門は生物学で、中学・高校理科の教員免許を持っています。
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